法制化(国家資格)は官との長い戦いの道
カイロプラクティックが法制化されてないという事はカイロプラクティックに係る特定の法律(カイロプラクティックの施術概念、施術・宣伝業務上の禁忌事項、資格制度、施術者育成教育機関の条件他、根幹から枝葉にわたる事細かな規則)がまだ制定されてなく、すなわち国家資格も存在しないということですが、これを違法行為である無免許・無資格営業と誤解される方がいます。
しかし無免許・無資格営業とは、既に資格制度が法律で定められ国の許可制(国家試験を受け内閣府の該当大臣の承認印fが押印された合格証を取得することで開業を許可される制度)になっているにもかかわらず認可を受けずに業務を行う(潜り業者)ことで、その法律が無いカイロプラクティックには当てはまりません。
国による法制化の目的は、新しい時代と共に起こった新しい産業に、経済を賑わす普及が認められる時、消費者の安全性などの側面を確保するため、その産業を法律で規制しながら育成して行くことにあり、法制化された業界・事業者はその法令を遵守しながら発展と普及に力を注ぐ事になります。先ず実態が先行しその後を法制化が追随します。
医業類似行為については昭和22年に初めてあん摩マッサージ指圧師・はり師・灸師等が法制化されてますが、それとて何十年にわたる医科学的検証に基づき療法の有効性、無害性が証明され、その結果法制化されたのかと問えば・・・否であります。所詮、戦後の混乱期に既就業者からの新規参入者制限の要請に官が応え即、立法施行したにすぎません。
一方カイロプラクティックに関しては、官は何十年にわたり業界の法制化要請を無視してまいりました。さらに、やっと重い腰を上げたかに見えた平成1年には、医科学的検証に基づく療法の有効性、無害性の証明が必要との観点から、第三者と称しながら実は反カイロプラクティックの立場に立つ医学者の布陣で検証研究会(厚生省厚生科学研究脊椎原生疾患の施術に関する医学的研究)を構成し、後に法制化を排斥しております。
その研究会が答申した僅か5.5ページの報告書(厚生省平成2年度厚生科学研究 脊椎 ・原生疾患の施術に関する医学的研究)の構成は、1.5ページの表紙・序章を除く残り4ページのうち、有効性についての評価は僅か10行で、残りほとんどが危険性と禁止手技で埋めつくされております。100年以上の国際的な歴史をもつカイロプラクティック を考察するにはあまりにも軽薄かつ非科学であり、執筆者の科学者としての、医師以前の資質を疑う内容です。振り返れば、この僅か5.5ページの報告書を根拠に通知を出す(平成三年六月二八日 医事第五八号 各都道府県衛生担当部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知)ことが行政の筋書き通りの施策だったのです。
法制化までは踏み込まず法的効果を発生させる行政通知でカイロプラクティック療法を法的に認知いたしましたが、内実は当療法を骨抜き(頚椎スラスト法アジャストの禁止他)にしカイロプラクティックからその特質を失わせたのです。たとえ根拠となる報告書が非科学的とは言え日本は法治国家ですから以降誠実なるカイロプラクティック事業者はその行政通知を遵守(コンプライアンス)せざるを得ません。
医師の診断を覆すことができるのは裁判官しかいない。この絶対的な権威を与えられている医療環境で求められるのは医師である以前に科学者たれという事であります。 前掲報告書はカイロプラクティックの医科学的評価に於いてではなく、日本に於けるカイロプラクティックの置かれた立場を象徴する政治的文書として、更には科学者たる医師の在かたを問う文書として後々の時代にまで語り継がれることでしょう。
官と医学者の癒着によるカイロプラクティックの排斥を目的とした反科学的検証により法制化は一旦遠ざかりました。 正にカイロプラクティックの法制化は官との長い戦いの道と言っても過言ではありません。
特定の法律がまだ制定されてない業種は多々有りますが、なかんずくカイロプラクティックに違法行為の謂れはありません。のみならず,私達は国民の健康の為カイロプラクティックの更なる発展と普及に力を注ぐ使命を担っているのです。
ちなみに、新しい産業は徹頭徹尾、民が起こすのでありその起業力が強く且つ自由な社会ほど経済は発展し国家が栄えますが、国すなわち官の力が強すぎると産業は起こし難く経済は衰退します。この事は自由主義と共産主義の現代史が証明するところです。
2006/2/20 文責 佐藤務 (業歴25年)