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カイロプラクティックとコンプライアンス


背骨を調整するカイロプラクティックは、「あはき法」に触れず施術所を開業することができます。
カイロプラクティック療法は、脊椎を調整することにより、神経の回復を図ることを目的とする療法とされており、この点においてあん摩マッサージ指圧と区別されるものと考えられる。(平成4年1月14日 内閣総理大臣 宮澤喜一から参議院議長 長田裕二宛 答弁書第一五号 内閣参質一二二第一五号 抜粋)

上記抜粋答弁書の国の見解が根拠を物語ります。

この答弁はカイロプラクティックの施術を業務とすることは「あはき法」に触れる違法行為ではないのかという公的な質問状に対するものですが、背骨を調整する施術概念はカイロプラクティックのほかに整体も共有しており、すなわち整体も自由に業務として開業できるという根拠にもなります。

要は「あはき法」で規定されるあん摩マッサージ指圧の施術概念以外の施術であればカイロに限らず新しい施術業務をなにびとも開業できるわけです。もちろん人の健康を害することを除いてですが。

周知の事ですが、どんな職業でも法律の規制をうけています。それに携わる人が認識しているか否かに係わらず数多くの法律の枠内で職務を遂行しています。会社では新入社員に真っ先にその法律を教育します。

このコンプライアンス(法令順守)意識が低く認識が浅い会社は名だたる大企業でも容赦なく家宅捜査されたり業務停止処分を受けます。以前は黙認されていたことでも時代の変遷と共に摘発事件としてニュースでお目にかかることが多くなりました。

余談ですが家宅捜査はある日の早朝前触れも無く突然数多くの足音とドアのノックで始まります。何が何故始まっているのか理解できないまますすめられます。屈辱的な事態は事務所から始まり自宅の家族まで巻き込みますのでそういう目に遭いたくないのならコンプライアンスを日常的に実践することが必要です。

ところでコンプライアンスを軽視する施術師が陥りやすい思考は以下などかもしれません。

  @多くの同業施術師も同じことをやっているから
    摘発されるわけはない
  A高名な養成所の先生に教わった技術だから
    摘発されるわけはない
  B自分はアメリカのカイロの大学を出ているので
    摘発されるわけはない
  C摘発されても所属団体が正当性を
    弁明してくれるはず
  D摘発されてもいざとなったら教授してくれた高名な先生が
    守ってくれるはず

しかしこんな理屈は摘発を受けると次のような非情な応酬に跡形も無く消えていくでしょう。

   @やっていたのは君だけだ
   A技術としては教えたがまさか患者さんに法令を侵してまで
    施術するとはけしからん
   B君はどこの国で商売してるのだ
   C団体の名を汚す恥知らず者だ
   D破門に処す

ちょっときつかったかも知れませんね。が、カイロプラクティック・整体を業とする者は、独自の法律がないので「あはき法」に触れる(違反する)か否か、さらには「平成3年の行政通知」を遵守しているか否かが真っ先に問われることになります。たとえすぐれた施術によって患者さんから治ったと喜ばれていてもその施術自体が違法であるならばそれは容赦なく摘発の対象になるのです。したがってこのような事態を招かぬように法律知識を深めて行かなければなりません。

このほか施術師が診断をするなどの医師法違反並びに施術による症状悪化などの刑事告発は人様の体をあずかる医業類似行為全般に共有されるリスクとして当然認識していなければなりません。医者でも医療事故が刑事事件として扱われる時代です。まして医者でない施術師は特に細心の注意力をもって臨まねばなりません。

開業にあたって行政に届出は要りません。国家の認可制度が法律で制定されておりませんので国家試験も各種学校もありません。
技術の習得は養成所(○○学院、○○大学日本校など多彩な名称で開設している)でおこなうか施術師に弟子入りすることになります。
そして自信がついたら開業すればよいのです。

ところで数多くある団体についてですが、施術師はどこかの団体に加入しなければ開業できないということではありません。そもそも前述のごとく国家の法律による認可制度が無いため日弁連(弁護士は弁護士法に基づき設立された日弁連に加入しないと業務ができない)のように法律によって設立と加入を義務づけられている団体は無いのです。にもかかわらず名簿を厚生労働省などに提出して受理されていると宣伝する団体もありますが何の意味もありません。行政が名簿を備える法律が無いのです。ちなみに4名以上集まれば設立できる共同組合並びに誰でも簡単に設立できる内閣府認証NPO(最近はNPOの意味が周知されてきたためNPOを省き内閣府認証だけを掲げ意味深にしています。確認したい方は内閣府HPhttp://www.npo-homepage.go.jp/about/npo.html(3)疑問を感じる団体がある場合をご参照ください。) を掲げる団体もありますが同様に意味はありません。

賠償保険は言うまでも無く開業者は必ず契約しているはずですが(未契約の場合は論外ですので即座にインターネットで検索して加入すべきです)この保険ですべてが補償されると考えてはなりません。補償の前提条件にはコンプライアンスが厳然としてあります。コンプライアンスを実践しその上で万が一の不測の事態に対応するよう保険約款は構成されております。ですから違法な施術が要因となる賠償事案にたいしては間違いなく保険会社の無責(補償しない)となります。

例えば行政通知で禁忌手技にあげられている頚椎のスラスト法が要因とかんがえられる賠償事案などの場合、ほとんどの保険会社は約款で無責を明記しております。保険会社の社会的責任から違法行為と認識される施術を助長する保険を提供できないのは当然でありましょう。

例外として少数の保険会社で無責を明記してませんが、事故があった時すんなり保険を適用してくれるかどうか疑わしいとこです。たぶん保険会社の担当者が業界について無知なため約款を修正してないと見るべきでしょう。

いずれにせよ、すべての施術師はいざ前述事案が発生したとき賠償保険では補償されないと考えねばなりません。結局自分を守ることができるのはコンプライアンスを実践する自分の意思しかないのです。

以上カイロプラクティック施術師はカイロプラクティックが係わる法律の知識を深めコンプライアンスを実践することに責任を負っていかねばなりません。

      
2006/7/3 文責 佐藤務 (業歴25年)   





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